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刃物ユニット
特許製品開発秘話 | 2021.02.05
名称:刃物ユニット
特許番号:第3764305号
登録日:平成18年1月27日
プリント基板の端面取り加工用カッターに関する特許。
刃先のダイヤチップは90°にV溝を掘り、V溝の底に0.1から0.5程度のR形状を付けている。
このカッターは、プリント基板切断後の端面に出たバリを除去しながら上下面に45°の傾斜を付け、端にRを付けるための端面取り加工に使用される。
当社は端面取りカッターの刃先形状に2つの仕様を選択でき、その一方の仕様を特許化している。
1つ目の仕様は、四角いダイヤチップをカッター台金へロウ付けし、90°にV溝を付け、溝底にRを付けて研磨仕上げしたERBタイプ。2つ目の仕様は、U型のダイヤチップを超硬(タングステンカーバイト)で製作したカップにはめ込んでロウ付けした上で、カッター台金へロウ付けし、ダイヤチップに90°V溝を付け、溝底にRを付けて研磨仕上げしたERCタイプ。特許化したのは、後者のERCタイプ。
加工時の切削負荷が最も集中するのはV溝底である。
切削負荷に耐えられなくなると、この部分から縦に亀裂が入り、亀裂を境にチップが左右に割れ、刃飛びが発生してしまう。再研磨の度にチップ修理を要するお客様がいらっしゃり、修理費用がかさむことを悩んでおられた。
これを改善してお客様に喜んでいただきたいという想いから、【V溝底に亀裂が入りにくく、刃飛びがしにくい刃先形状】の作り込みを始めた。
「V溝底の亀裂を抑えるにはどうすべきか」、「刃飛びを抑えるにはどうすべきか」という2つの問題があり、両方をクリアすることに大変苦心した。
様々なテストを行う中で、ダイヤチップを超硬(タングステンカーバイト)で製作したカップで包むことで、V溝底の亀裂発生を抑える効果が見られた。
ダイヤチップにかかる切削負荷や振動を、超硬製カップが吸収してくれたためと推察。
また、ダイヤチップを入れた超硬製カップをカッター台金にロウ付けする際に、サンドイッチ銀ロウというクッション性の高い銀ロウを使用したことで、切削負荷の分散効果を狙った。
更に、超硬カップ内にダイヤチップが収まっていることで、亀裂を境にチップが左右2つに割れた場合でも、容易には刃飛びがしにくくなった。
併せて、ダイヤチップを超硬製カップ内へロウ付けする際に、事前にダイヤチップの裏側に数本の溝を掘っておくことで、溝にも銀ロウが回り、接着強度が高まる。接着強度が増すことで、刃飛びを抑止できるよう工夫した。
V溝底に亀裂が入ることが多く、チップ交換などの修理費がかさんでいたお客様より、「実際に亀裂の発生が減り、修理費の出費が減少した」というお喜びの声をいただいた。
また、別のお客様のお声として、「カッターを加工機から取り外す際や、テーブルに置く際などに、ダイヤチップの側面を異物に当てて欠かしてしまうことがあったが、ダイヤチップが超硬製カップに覆われていることで、側面を欠かすリスクが軽減した」という嬉しい相互作用も報告された。
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